低入札価格調査制度と最低制限価格制度の違いを簡単解説!

入札価格制度の「低入札価格調査制度」と「最低制限価格制度」について、誰でもわかるように簡単にまとめました。

低入札価格調査制度とは

まず、低入札価格調査制度の根拠となる法律は、会計法29条の6予算決算及び会計令85条です。

低入札価格調査制度は、国も地方自治体も使う制度です。 

発注者が調査基準価格より低い価格で入札した会社に対して、すぐに落札者と決定せず、価格の根拠を調査した上で工事の履行が適正にされるかどうかを調査する制度です。

発注者の調査で問題が無ければ工事の受注が確定します。

参考サイト:総務省

実務では、低入調査とも呼ばれます。

建設業界では最低制限価格を下回って応札し落札したとき、「低入(ていにゅう)で落札した」と表現したりします。

予算決算及び会計令第85条には下記のような記載があります。

 

工事の請負に係る競争契約において、相手方となるべき者の申込みに係る価格によっ ては、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがある と認められる場合の基準は、その者の申込みに係る価格が次に掲げる額に満たない場合 とする。
1 予定価格算出の基礎となった次に掲げる額の合計額。ただし、その額が、予定価格 に10分の9.2を乗じて得た額を超える場合にあっては10分の9.2を乗じて得 た額とし、予定価格に10分の7.5を乗じて得た額に満たない場合にあっては10 分の7.5を乗じて得た額
1 直接工事費の額に10分の9.7を乗じて得た額 2 共通仮設費の額に10分の9を乗じて得た額
3 現場管理費の額に10分の9を乗じて得た額
4 一般管理費等の額に10分の6.8を乗じて得た額
2 特別なものについては、1にかかわらず、契約ごとに10分の7.5から10分の 9.2までの範囲内で契約担当官等の定める割合を予定価格に乗じて得た額

令和 4年 3月 4日 最終改正(予算決算及び会計令第85条)

長々した上記条文を簡単にまとめると下記のようになります。

● 調査基準価格の範囲
   予定価格の75〜92%の範囲

● 調査基準価格の算出方法(下記①〜④の合計
   ① 予定価格の直接工事費97%
   ② 予定価格の共通仮設費90%
   ③ 予定価格の現場管理費90%
   ④ 予定価格の一般管理費等68%

●上記①〜④の合計金額が調査基準価格の範囲に入らない場合の価格の設定方法
  予定価格の75%を下回るなら下限値の75%の金額
  予定価格の92%を上回るなら上限値の92%の金額

特別重点調査とは

予定価格が2億円以上の工事で入札額が低入札価格調査基準を下回り、かつ、 その費目別内訳が一定割合以下である場合に行われます。

実務では、特重(とくじゅう)と呼んだりします。

● 特別重点調査の対象
 予定価格が2億円以上の工事で低入札価格調査対象となり、かつ下記費用のいずれかが金額に満たないもの場合
   ① 予定価格の直接工事費90%
   ② 予定価格の共通仮設費80%
   ③ 予定価格の現場管理費80%
   ④ 予定価格の一般管理費等30%

最低制限価格制度とは

最低制限価格制度の根拠となる法律は、地方自治法234条地方自治法施行令167条の10第2項です。

根拠となる法律が「地方自治法」ということもあり基本的に地方自治体のみの独自の制度です。

予定価格の範囲内で最低価格で入札しても、最低制限価格を下回る場合は、落札者とせず最低制限価格以上で最低価格をもって入札した者を落札者とします。

参考サイト:総務省

発注者が入札額の最低ライン(最低制限価格)を設定し、これを下回った会社は無条件で失格となります。

ドボンとは

「ドボン」は、最低制限価格を下回った入札により失格になってしまった時に使います。

低入札価格調査制度と最低制限価格制度の簡単比較

それぞれの特徴を比較すると下図になります。

低入札価格
調査制度
最低制限
価格制度
根拠となる法律・会計法29条の6
・予算決算及び会計令85条
・地方自治法234条
・地方自治法施行令167条の10第2項
発注機関国も地方自治体も使う制度地方自治体のみの独自の制度
落札者決定方法・基準値は上限値
基準値を下回る参加業者の中から落札者を決定
最低制限価格を上回る入札参加事業者を落札者を決定
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