建設業法に基づく「見積期間」の考え方

建設業法に基づく、見積期間について解説します。

適正な見積期間(建設業法 第20条・建設業法施行令 第6条)

見積期間とは、発注者から見積の依頼を受けてから、作成・提出するための猶予期間をいいます。

建設業法には、見積期間について下記の条文が設けられています。

建設業法 第20条

(建設工事の見積り等)
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。

2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

3 建設業者は、前項の規定による見積書の交付に代えて、政令で定めるところにより、建設工事の注文者の承諾を得て、当該見積書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該建設業者は、当該見積書を交付したものとみなす。

4 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項第一号及び第三号から第十六号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。

この一定の期間の具体的な日数が建設業法施行令第6条に記載があります。

見積期間

工事価格500万円未満:1日以上

工事価格500万円以上、5,000万円未満:10日以上(やむを得ない事情がある場合は5日以内に限り短縮可)

工事価格5,000万円以上:15日以上(やむを得ない事情がある場合は5日以内に限り短縮可)

これらの期間は、発注者が業者に最低限設定すべき期間の基準です。

追加工事の見積依頼についても、上記の見積期間を設ける必要があります。

「やむを得ない事情」には明確な定義がありませんが、理由もなく短期間での見積対応を求められた場合は不当な依頼の可能性があります。

例えば、発注機関より事前予告も無く「今日契約したいから、今日中に見積を提出するように!」といった強引な依頼は、建設業法上でいうと禁止されているわけです。

つまり、下請負人が見積を急かされて不当な契約を結ぶことがないように建設業法で十分な検討時間を設けることを定められています。

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