「公契約」労働者の最低賃金について簡単解説

一般に「公契約に関する労働者の賃金条件」を規定する条例のことを公契約条例と呼びます。

この記事では公契約について、簡単に解説します。

「公契約条例」とは

公契約条例とは、自治体が発注する公共工事などの契約について、主に「労働者の賃金条件」などを定めた条約です。

公契約条例は、統一的な法令ではなく各自治体ごとに制定されますので、公契約は、国や自治体がそれぞれ独立して行います。

一般的に公契約では、国や自治体が契約する民間企業に対して「一定基準以上の賃金を労働者に支払う」ことを義務付けています。

目的は主に以下の3点です。

・労働者の賃金にしわ寄せが来るような不当な価格競争を防ぐ
・公共事業でのワーキングプアの発生を防ぐ
・労働者の保護に加え、民間会社の健全な成長、地域の活性化

公契約は、上記3つの目的を達成するために大きな役割を果たすと期待されています。

「公契約」の確認事項と注意点

公契約条例が制定されている自治体で入札に参加する建設事業者は、あらかじめ自社の労働条件を確認する必要があります。

例えば賃金基準となることが多い「最低賃金」は地域によって異なります。

具体的な賃金について、入札に参加する自治体の公契約条例に従って検討する必要があります。

日本全体の中で公契約条例を制定している自治体(県、市区町村)はまだ少数ですが今後、増えていくと思われます。

2022年度の川崎市の例だと下記のようになります。

川崎市の例

対象契約:予定価格6億円以上の工事

対象労働者:当該工事に従事する全ての作業員

作業報酬下限額:時給2,829円(日給22,632円) ※令和4年度 電工

作業報酬に算定する手当等の基本的考え方

作業報酬の基本的な考え方は、「公共工事設計労務単価」の労務単価に含める基準内の手当に係る割増賃金のうち、当該特定工事請負契約において従事した作業に係る部分に基づきます。

基準内の手当について、主なものは下記の通りです。

 

基準内の手当の例

基本給(定額給)、出来高給、割増賃金(時間外・休日・深夜など)、家族手当、扶養手当、通勤手当、都市手当・地域手当、住宅手当、役職・現場・ 技能・資格手当等、有給休暇手当、精勤手当、現物給与(通勤定期・食事等)、賞与(期末手当・ボーナス)

作業報酬は、いわゆる手取りの金額とは異なり、税金や社会保険料等を控除する前のものです。

まとめて支払われる手当の算定方法

例)ボーナス500,000円(6か月分)の場合

作業報酬に算定する額
500,000円÷ 6ヶ月 ≒ 83,333円(切上げ)

公契約の履行状況の確認とは

受注者は、賃金台帳によって対象労働者ごとに支払われた「作業報酬の額」「基準額」以上に適正に支払われているかどうかを確認する必要があります。

作業報酬と基準額の比較は、給料日等に行います。

おすすめの記事